2025年9月、文数厚生常任委員会にての報告(中原みほ)

おはようございます。文数厚生常任委員会の審査結果を三股町議会会議規則第76条の規定に基づき報告いたします。
当委員会に付託された案件は、議案第49号から52号、59号、60号、63号から69号の計13議案であります。
議案第49号「令和6年度三股町国民健康保険特別会計歳入歳出決算の認定について」
本案は、歳入決算額2,776,192,529円、歳出決算額2,621,129,542円、歳入歳出差引額155,062,987円とするものであります。
審査においては、まず保険者数の減少傾向については、今後の保険財政の持続性に影響を及ぼす重要な課題であるとの認識が示され、特に医療費の増加が見込まれる中で、加入者の減少が制度全体に与える影響について懸念する意見が出されました。
また、現役世代や子育て世帯に対する医療費・保険料の上昇に関して、負担の大きさに配慮した制度運営が求められるとの意見がありました。
加えて、「子ども・子育て支援金制度」の導入など、国の動向も踏まえながら、国民健康保険制度のみならず後期高齢者医療制度も含めた全体的な制度設計の見直しや、町としての対応方針の整理が必要であるとの指摘がありました。
そのうえで、町としては今後、制度の改正や負担増に関する住民への丁寧な情報提供と理解促進に一層努めていくべきとの要望が出されました。
慎重に審査した結果、全会一致で認定すべきものと決しました。

議案第50号「令和6年度三股町後期高齢者医療保険特別会計歳入歳出決算の認定について」
本案は、歳入決算額334,136,757円、歳入決算額333,369,020円、歳入歳出差引額 767,737円とするものであります。
審査においては、後期高齢者の被保険者数が年々増加傾向にあることが特徴的であるとの認識が示されました。
今後も高齢化の進行により被保険者数の増加が見込まれる中、後期高齢者医療制度の安定的な運営と、医療費の適正化に向けた取組の重要性が改めて確認されたところであります。
また、制度の構造上やむを得ない増加ではあるものの、医療費に係る財政負担が今後さらに大きくなることが見込まれることから、その備えや対応方針については、広域連合および町が連携して取り組む必要があるとの意見も出されました。
慎重に審査した結果、全会一致で認定すべきものと決しました。

議案第51号「令和6年度三股町介護保険特別会計歳入歳出決算の認定について」
本案は、歳入決算額2,295,173,945円、歳入決算額2,206,605,331円、歳入歳出差引額88,568,614円とするものです。
審査においては、特に要介護化を防げた人数や財政効果(給付費の抑制等)を「見える化」し、町の取り組みとして広くPRすることで、住民の参加意欲や事業への理解を高めることにつながるのではないかとの提案がなされました。
また、事業への参加を促すためには、送迎手段の整備(バスの活用など)を含め、参加しやすい環境づくりが重要であるとの指摘もありました。
さらに、地域サロンの縮小や民主団体の加入者減、高齢者の活動の場の減少などをふまえ、町として高齢者が孤立せず、性別や生活状況を問わず参加できる場の確保が必要であるとの要望が出されました。
とりわけ、男性高齢者の社会参加が進みにくい現状にも触れ、町が関係機関や地域と連携し、横断的な視点から参加しやすい仕組みを整えることが求められるとの意見が述べられました。
慎重に審査した結果、全会一致で認定すべきものと決しました。

議案52号「令和6年度三股町介護保険サービス事業特別会計歳入歳出決算の認定について」 
本案は、歳入決算額23,013,313円、歳入決算額21,741,009円、歳入歳出差引額1,272,304円とするものです。
慎重に審査した結果、全会一致で認定すべきものと決しました。

議案59号「三股町児童福祉施設設置条例の一部を改正する条例について」 
本案は、東原児童館の用途廃止に伴い条例の一部の改正を行うものです。
審査においては、本改正に関連して、児童福祉施設の敷地や附属施設(駐車場・遊具等)の管理運用、ならびに将来的な利活用のあり方について複数の意見や懸念が示されました。
特に、遊具や備品の安全管理、納品・出入りに関する動線の整理、立ち入り管理など、日常的な運用上の課題に対して十分な配慮が必要であるとの指摘がありました。
また、今後の用途変更や施設廃止の際には、過去の町有施設(旧病院・社協跡地等)のように利活用が進まず、管理が長期化・形骸化する事例を繰り返さないよう、活用方針や譲渡・売却の可能性をあらかじめ検討しておくべきとの意見が出されました。
さらに、施設の立地や利便性を踏まえた分譲活用の可能性や、場合によっては解体・更地化も視野に入れるべきとの提案もなされました。
これらを踏まえ、町に対しては今後の施設運用および跡地管理において、再利用・譲渡・売却・解体など、将来的な選択肢を含めた計画的な方針整理と、町民への情報公開に努めるよう求めたいとの要望が示されました。
慎重に審査した結果、全会一致で可決すべきものと決しました。

議案60号「三股町重度心身障害者医療費助成に関する条例の一部を改正する条例について」 
本案は、医療費の助成対象者を県の制度改正に合わせ、精神障害者保健福祉手帳1級所持者まで拡充するため条例の一部の改正を行うものです。
審査においては、本改正により精神障害者が重度心身障害者医療費助成の対象に加えられたことは、他県の制度とも整合し、対象者への支援拡充という観点から評価できるとの意見が示されました。
一方で、改正により新たに対象となる精神障害者は町内で約10人程度と少数であり、実際に助成を受ける人数も数人にとどまる見込みであることから、制度改正の意義は大きいものの、現時点での影響は限定的であるとの認識も共有されました。
今後は、対象者への丁寧な周知や、制度の運用状況を適切に把握しながら、必要に応じてさらなる支援の在り方を検討していくことが望ましいとの意見が出されました。
慎重に審査した結果、全会一致で可決すべきものと決しました。

議案63号「令和7年度三股町国民健康保険特別会計補正予算(第2号)について」 
本案は、歳入歳出予算の総額2,805,295,000円に歳入歳出それぞれ、34,707,000円を追加し、歳入歳出予算の総額を歳入歳出それぞれ2,840,002,000円とするものです。
審査においては、マイナンバーカードによる保険証(いわゆるマイナ保険証)の利用促進に関する質疑・意見が複数の委員から出されました。
町民のマイナ保険証の利用率が49.2%と半数未満にとどまっている現状について、制度の周知徹底が十分でないのではないかとの指摘がありました。特に、旧保険証との違いや、資格確認書の取り扱いについての説明が不十分であるとの懸念も示されました。
また、利用が進まない背景として、制度が分かりにくいことによる不安や、利用者にとってメリットが感じにくいことがあるのではないかとの意見も出されました。
今後は、町民が安心して制度を利用できるよう、わかりやすく丁寧な情報発信の強化、および制度の目的や利便性を町民に伝える工夫が必要であるとの要望が出されました。
慎重に審査した結果、全会一致で可決すべきものと決しました。

議案64号「令和7年度三股町後期高齢者医療保険特別会計補正予算(第1号)について」 
本案は、歳入歳出予算の総額360,429,000円に歳入歳出それぞれ、6,487,000円を追加し、歳入歳出予算の総額を歳入歳出それぞれ366,916,000円とするものです。歳入の主なものは、後期高齢者医療保険料及び国庫補助金、令和6年度収支決算による繰越金を増額補正するものであり、歳出の主なものは、後期高齢者医療広域連合納付金を増額補正するものです。
審査においては、マイナ保険証への切り替えに関する周知について、チラシ配布のみで終わらせるのではなく、住民にわかりやすく丁寧な説明を加えた資料の配布や対応が必要であるとの意見が出されました。
また、令和8年度から導入予定の子ども・子育て支援金制度に関しては、特に高齢者層への影響や理解不足が懸念されることから、制度の趣旨や金額が確定次第、町独自の説明資料を準備し、丁寧な周知に努めるべきであるとの要望がありました。
さらに、後期高齢者の被保険者数が現在3,798人であり、今後も増加が見込まれることを踏まえ、持続可能な制度運営のための対応が重要であるとの認識が示されました。
慎重に審査した結果、全会一致で可決すべきものと決しました。

議案65号「令和7年度三股町介護保険特別会計補正予算(第2号)について」 
本案は、歳入歳出予算の総額2,377,632,000円に歳入歳出それぞれ、92,973,000円を追加し、歳入歳出予算の総額を歳入歳出それぞれ2,470,605,000円とするものであり、歳入の主なものは、令和6年度決算に伴う繰越金を増額補正するもので、歳出の主なものは、基金積立金及び国、県、一般会計への前年度清算返還金を増額補正するものです。
審査においては、成年後見制度の仕組みに関する質疑があり、制度の概要や活用の流れについて改めて説明がなされました。
その上で、制度の仕組みに対する理解を深めるため、今後も機会をとらえて丁寧な情報提供を行っていくことが望まれるとの意見が出されました。
慎重に審査した結果、全会一致で可決すべきものと決しました。

議案66号「令和7年度三股町介護保険サービス事業特別会計補正予算(第1号)について」 
本案は、歳入歳出予算の総額21,896,000円に歳入歳出それぞれ、1,271,000円を追加し歳入歳出予算の総額を歳入歳出それぞれ23,167,000円とするものであり、歳入につきましては、令和6年度決算に伴う繰越金を増額補正するもので、歳出の主なものは、一般会計への前年度清算返還金を増額補正するものです。
慎重に審査した結果、全会一致で可決すべきものと決しました。
議案67号「工事請負契約の変更契約の締結について(三股町脱炭素化推進事業(三股町総合福祉センター太陽光発電設備等導入工事ほか)について」 
本件は、三股町脱炭素化推進事業として締結された以下の2件の工事請負契約について、契約後の照査により工事内容および工事費に変更が生じたため、契約金額を変更しようとするものです。三股町総合福祉センター 太陽光発電設備等導入工事、三股町文化会館 照明LED切換工事、いずれも令和7年6月19日に「三股町脱炭素きゅうなん隊」(構成:株式会社九南)と契約されたものであり、変更後の契約金額が5,000万円以上となることから、「議会の議決に付すべき契約に関する条例」第2条に基づき、議会の議決を求めるものであります。
審査においては、今回の変更契約に伴う約2,000万円の大幅な減額について、当初の予算立てが過大であり、積算の精度に課題があったのではないかとの指摘がありました。
特に、「新しい街灯をすべて含めた内容で予算が立てられた」との説明を受けていたにもかかわらず、実際には減額が生じたことから、仕様確認や見積もり精査が不十分であった可能性があるとの意見が出されました。
また、業者側の提案に依存した積算となっていたのではないかとの懸念も示され、今後は、町側において事前の仕様検討をより綿密に行い、積算根拠の把握と予算精度の向上に努めるべきとの要望がなされました。
慎重に審査した結果、全会一致で可決すべきものと決しました。

議案68号「工事請負契約の変更契約の締結について(三股町脱炭素化推進事業(文化会館照明LED切換工事ほか)について」 
本件は、三股町脱炭素化推進事業として締結された以下の2件の工事請負契約について、契約後の照査により工事内容および工事費に変更が生じたため、契約金額を変更するものです。三股町総合福祉センター 太陽光発電設備等導入工事、三股町文化会館 照明LED切換工事、いずれも、令和7年6月19日に三股町脱炭素きゅうなん隊(構成:株式会社九南)と契約されたもので、変更後の契約金額が5,000万円以上となるため、「議会の議決に付すべき契約に関する条例」第2条に基づき、議会の議決を求めるものです。
慎重に審査した結果、全会一致で可決すべきものと決しました。

議案69号「財産の取得について(令和7年度 図書館システムリプレース事業)について」 
本件は、図書館システム及び機器一式を賃貸借契約(リース)により調達するものであり、売主を富士電機ITソリューション株式会社、貸借人をFLCS株式会社として、契約金額11,404,800円で町と契約を締結するものであります。
なお、リース期間満了後は当該財産を無償譲渡で取得する予定であることから、「議会の議決に付すべき契約及び財産の取得又は処分に関する条例」第3条の規定に基づき、議会の議決を求めるものであります。
審査においては、システム更新にあたり、録音図書など視覚障がい者や高齢者にも配慮したサービスの充実が求められるとの意見が出されました。
また、図書館には一定の職員体制が整っていることを踏まえ、人的資源を有効に活用し、利用者ニーズに即したサービス展開を検討していくことが望ましいとの要望も示されました。
慎重に審査した結果、全会一致で可決すべきものと決しました。

なお、9月11日には、文教厚生常任委員会において町内で実施中の「方境遺跡」発掘調査に関する視察および進捗状況の確認を行いました。
調査現場では、南九州特有とされる古墳時代中期の地下式横穴墓、及び発掘された県内4例目となる素環頭(スカントウ)鉄剣、又、弥生時代の南九州特有とされる花弁型住居跡など、学術的にもきわめて貴重な出土品が確認されております。
現在は、2027年3月までの発掘継続と並行し、3Dデータの作成・動画記録・出土品整理作業が進められておりますが、恒久的な整理作業場の確保や庁内関係課との調整など、運用面での課題も確認されました。
また、鉄剣の劣化進行への対応、住居跡構造の解明など、学術面・保存面の課題が山積しており、今後は町としての支援体制や関係機関との連携の在り方が求められます。
調査成果は、町の歴史資産としてのみならず、今後の郷土教育・地域振興にも資する重要な資料となることから、効果的な情報発信や展示活用の体制整備を進めて頂きたい。
以上で文教厚生常任委員会の報告を終わります。

と委員長報告を致しました☺️